「産熱」と「放熱」
2016年12月24日
神奈川県座間市で新築をご検討の方はSEISHIN建築設計へ・・・・・・
皆様こんにちは 北村です。
今回も前回に引き続き、快適な室内環境について考えてゆきたいと思います。
室内の環境で「快適」、と呼ばれる状況というのは、私たちの体が「暑くも寒くもない」と
感じる状態だと一般的に言われています。
では、どのような環境のなかで、私たち人間は「熱い」「寒い」と感じるのでしょうか?
たとえば、日本の夏はヨーロッパの夏に比べると蒸し暑く、不快指数が高いとよく言われています。
また、冬の寒さにおいても空気が乾燥した地域と湿度が高い地域では、感じ方が異なり、湿度が低い地域では
「刺すような寒さ」があることは、よく知られているところです。
これが、同じ気温でも、湿度が高い、低い、で体感温度が違うといわれている理由の一つです。
環境工学の一つの指標で 「標準新有効温度」 といわれるものがあります。
これは、湿度50%、に設定し、「体の姿勢」、「衣服の量」、「室内の風速」、「壁の温度」などを一定に保ったうえで
室温が何度であれば、人は快適に感じるのか、というものです。
「アメリカ空調学会」の研究によると、 この「標準新有効温度」 は実験データ分析の結果
22.5度~25.6度の間が最も 「快適に感じる温度」 だといわれています。
ただ、これは一般的に考えられていることであって、あくまでも「標準値」 です。
皆様もご経験があると思いますが、 例えば、オフィスで一定の温度設定をし、
冷暖房の空調をしていても、全ての人が平等に 「快適」「不快」 を感じているわけではなく、
それぞれの人が「個別の体感温度」 をもっていることが容易に想像されます。
それは、人それぞれ個別に衣服の量を変えて調節していることが多いことを見ればわかります。
医学の用語で「産熱」と「放熱」というものがあります。
「産熱」とは、内臓器官や筋肉の働きによって、体内に熱が産みだされることをいいます。
寒い日に運動をして体温を上げたり、筋肉を震わせたり、皮膚をこっすたりして体を温めたりすることが一つの例です。
反対に「放熱」とは、体から熱が放射され、出てゆくことを指します。
汗をかいたり、皮膚や口、鼻で呼吸することによって、体温を下げているのです。
人間の体には、体温を一定に保つ「体温調節機能」というものがあり、
自律神経の働きによって、体温は常におおむね「36℃~37℃」程度に保たれてるといわれています。
この「体温調節機能」に、「産熱」と「放熱」が深くかかわっていると考えられています。
つまり、「体温を適切に保つ」ために人間の体は、「産熱」と「放熱」のバランスをとっているのです。
この「産熱」と「放熱」のバランスが崩れた時に、体感温度として人間の体は「暑い」、「寒い」を感じることになり、
そう感じることによって、体温を調節するための「警告」を発していることにつながると考えられています。
この「警告」を上手に感知することによって 真冬の「風邪」の予防と、真夏の「熱中症」予防に役立てていただき、
快適な住環境づくりの参考にしていただければと思います。・・・・・・・・・・・・・ (^^)v