無私の日本人
2018年8月3日
こんにちは 北村です。
今回は 「無私の日本人」 磯田道史・著 文春文庫発行
という本をご紹介いたします。
★ あらすじ
貧しい宿場町の行く末を心から憂う商人・穀田屋十三郎が同志と出会い、
心願成就のためには自らの破産も一家離散も辞さない決意を固めた時、
奇跡への道は開かれた・・・・・・・・・・
無名の、ふつうの江戸人に宿っていた深い哲学と、中根東里、太田垣連月ら
三人の生きざまを通して「日本人の幸福」を発見した感動の傑作評伝。
この作品は歴史作家 磯田道史さんによる注目の歴史小説です。
歴史の中に埋もれた 穀田屋十三郎・中根東里・太田垣連月 という
三名の清冽な生涯を描いています。
「このようなすごい人たちが歴史上にいたのか・・・」と改めて感じ入ってしまいます。
私が特に感銘をうけたのが 「太田垣連月」という方の生き方でした。
★ 本文より
人の優しさというのは、どこから湧き出てくるのか。
幕末に生きたこの女性を想うとき、そのことを考えずにはいられない。
太田垣連月(おおたがき・れんげつ)のことである。
けっして、しあわせな生まれではなかった。そもそも彼女は、
ほんとうの父にまみえることすらなかった。生みの母に一度でも会ったことがあるのか、
それすら定かではない。いまとなっては、彼女の父母の名さえ、確たることはいえず、
何をしるべに、彼女のはじまりを記していけばよいのか、途方にくれてしまうほどである。
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「 あだ味方 勝つも負くるも哀れなり 同じ御国の人と思えば 」
幕末、旧幕府軍追討の旗を上げた西郷隆盛に彼女が贈ったこの一通の和歌が江戸城総攻撃を
回避させたとも言われています。 ・・・・・・・