桜のような僕の恋人
2018年3月29日
皆様こんにちは
北村です。
今回は、この「桜の季節」に是非おすすめしたい本をご紹介します。
宇山佳祐著
「桜のような僕の恋人」 集英社文庫 発行
★ あらすじ
美容師の美咲に恋をした晴人。
彼女に認めてもらいたい一心で、一度は諦めたカメラマンを再び目指すことに。
そんな晴人に美咲も惹かれ、やがて二人は恋人同士になる。
しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。
美咲は、人の何倍もの早さで年老いる難病を発症してしまったのだった。
老婆になっていく姿を晴人だけには見せたくないと悩む美咲は・・・・・・・・
桜のように儚く美しい恋の物語。
※ 著者の宇山佳祐さんは
今、注目の人気脚本家。
「スイッチガール」「主に泣いてます」「信長協奏曲」などの脚本を手掛けていて、
最近では映画「今夜ロマンス劇場で」の脚本も担当されていました。
私もこの方の本は2冊をど読ませていただいたのですが、
文章が会話調で、しかも言葉の奥に潜む感情表現がとても上手なことに驚きます。
このお話はとても切なく悲しいストーリーですが、不思議と人の心の温かさというものを
感じさせてくれる物語です。
本文より
恥ずかしそうにはにかむ彼女の姿は何とも愛らしい。
その笑顔を見て晴人は思った。
人生はほんの一瞬で大きく変わる。
信号が変わるくらいの短い時間で、人はこんなにも幸せな気持ちになれるんだ。
晴人は左耳に触れた。
微かに痛むその痕跡に彼はそっと願いを込める。
この幸せがいつまでも続くように。
美咲との未来がこの東京の夜のように輝くようにと。
そう願わずにはいられなかった。
決して叶うことのない、その願いを・・・・・・・。